青紫陽花を咲せたい!「酸性」に傾く土づくりと肥料選び
日本の園庭や公園、道端に咲いている紫陽花の色は「青色」もしくは「藤色」と感じるのは雨の影響で土壌が「酸性~弱酸性」になるからです。今回、“土壌の酸度「酸性」”に着目して青色を発色する紫陽花の育て方をお伝えします。

アジサイの花を「青色」にする秘訣は酸性傾向の土、肥料を使うことです。酸性すぎると植物は生きていけないため、弱酸性にします。土壌の環境により紫陽花の花色は藤色(紫色)に変色します。キレイな青アジサイを咲かせるために次の章から土壌つくりと肥料選びについてお伝えします。

関連記事
紫陽花の花色は植える土壌の性質と肥料の種類によって変色します。青色とピンク色の紫陽花を咲かせるためのメカニズムを解説します。
青アジサイの花
蕾の時から
青味を帯びています
   

「酸性」の土つくり

配合比率

使う土は、赤玉土(小玉)、腐葉土、ピートモス、バーミキュライトの4種類です。バーミキュライトが手に入らない場合はパーライトで代用できます。弱酸性の土づくりはピートモスを混ぜることです。土壌を酸性に傾けることで、土壌に含まれるアルミニウムを根に吸収できる仕組みを作ることで花色が青の色素へと変化します。

配合率
赤玉土(小玉)   5
ピートモス     3
腐葉土       1
バーミキュライト    1
次に、使いたい土の性質を簡単にお伝えします。

赤玉(小粒)

赤玉土は、関東ローム層(関東平野の火山灰層のこと)の赤土のことで、人工的に作られます。弱酸性の土でph6.0弱になります。
point肥料成分がなく菌が寄り付きにくい清潔な土で、通気性、排水性、保水性、保肥性に優れています。
point時間が経つと、赤玉土の粒が崩れ赤土に戻ってしまうデメリットがあります。柔らかい粒は崩れやすく、粒から土状に崩れると排水性が悪くなり根腐れを起こしやすくなります。
根腐れをしたら植替えで土を入れ替えます。

赤玉土の粒径約5mmのサイズ感
(幼児3歳のお手て)
 

 

赤玉は適度な通気性と保水性を維持するために小粒がおススメです。赤玉は栃木県産のイメージですが、茨木県産が一番です。数ある茨城県の赤玉屋さんの中で、お勧めしたい良質な硬質赤玉土で有名なブランドがこちらの商品「2本線硬質赤玉土」です。
 

店頭で購入するときは袋の底で粒が潰れていないものを選びましょう。赤玉の粒が潰れにくいか粉になりやすいかが品質の見分け方になります。粒を保てている硬めの赤玉がおススメです。

通気性:空気を通す性質
排水性:不要な水を出す性質
保水性:水を保持できる性質
保肥性:栄養分を保持できる性質
赤玉土と同じ性質で、鹿沼土があります。
違いは、赤玉土は弱酸性ですが、鹿沼土は酸性です。

ピートモス

ピートモスとは水気の多い場所で育った水苔やシダ類、コケ類の植物を細かく砕いて乾燥させた酸性の土で10~30倍にまで膨らみ水分を貯めこむ性質があります。
pointpH6.0前後の弱酸性である調整済みのピートモスを使います。
point保水性・保肥性があり、土を柔らかくする効果があります。
pointピートモスは、乾燥しすぎると撥水性をもってしまい、水分の吸収率が落ちます。

無調整のピートモスはpH3.8~4.8程度で強酸性、調整済みのピートモスはpH6.0前後で弱酸性の土です。
ピートモスを多く使うと栄養分を吸収できないことがあり、花が小さくなる可能性があります。

腐葉土

腐葉土はミミズや微生物等が長時間かけて落ち葉を分解を行い、腐敗することで土のように変化した堆肥の一種です。
point腐葉土を配合することで土全体に微生物が増え、植物の成長を助けるふかふかの土にします。
point
多少葉の形が残っていることで通気性・保水性があり、微生物により保肥性が維持できます。

 

 

紫陽花はたくさんの水を欲しがる植物のため保水力がある土壌が好ましいですが、排水性との兼ね合いがあるため腐葉土は土全体量に対して30%以下で入れ込むとバランスが計れます。

パームキュライト

バーミキュライトの主成分は、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムです。
バーミキュライトは中性の土になります。
最大の特徴は多孔質であること
point保水性・保肥性・排水性がよい
point通気性に優れていることで根に酸素が行きわたり根腐れを防ぐことができます。
point断熱性・保温性に優れているため、夏の暑い気候では断熱、冬の寒い気候のときには保温してくれる性質があります。
point比重が軽く(通常の土の10分の1程度)、土壌の軽量化ができ、高温で焼成しているので無菌です。 

青アジサイ専用の用土を購入する

土づくりが苦手な方や少量の土で植替えができる場合は、すでに弱酸性である青紫陽花専用の用土を購入すると手間が省けます。

青紫陽花専用の用土が近くの園芸店や総合店で販売されていない場合は、弱酸性に傾いている土で代用できます。弱酸性で調整済みのブルーベリーの用土もおススメです。

スポンサーリンク

肥料の選び方

配合比率

土壌が弱酸性に傾くようカリウム(硫酸カリ等)やアルミニウム(ミョウバンか硫酸アルミニウム)を含んでいる肥料を施します。その他、硫安や過石、硫酸カリ、塩化カリなどpHを下げやすいため「酸性」になる傾向があります。

肥料の配合比率

用土1Lに対しての割合

過リン酸石灰 1g
硫酸カリ   1g
緩効性化成肥料2~3g

過リン酸石灰

過リン酸石灰(過石)は水溶性のため速効性のリン酸肥料です。成分は硫酸石灰。水に溶けやすいですが、リン酸は土の中を移動にしにくく根の吸収率も低いです。ほぼ中性なので土壌のPHを調整する作用はありません。

硫酸カリ

硫安カリ(硫加)は、水溶性のため速効性のカリ肥料です。紫陽花が肥料分を吸収した後、副成分の硫酸により土壌が酸性に傾きます。

青アジサイの肥料

アミノール化学研究所が販売している「青花専用 アジサイ 専用肥料」は小粒の肥料です。
スプーンに適量とり追肥します。
肥料袋の入り口はジッパーのため保管もしやすいのでおススメです。
肥料100g中に窒素:リン酸:カリウム=6:8:5の比率で配合されています。

 

もう一種類、青アジサイの肥料をご紹介します。
お値段がお手頃
 

JOYアグリスが販売している「青 アジサイの肥料」は肥料の量がたくさん入っています。
肥料粒でコロコロしているため手で一握りして与えます。
肥料100g中に窒素:リン酸:カリウム=4:7:7の比率で配合されています。

豆知識

日本の雨は弱酸性のため土壌が酸性に傾きやすくなっています。そのため野外で育てた場合、青アジサイに変色しやすいといえます。しかし、土壌の微量な成分により藤色になったり、薄い青色になったりする傾向があるのも事実です。真っ青な青色(ブルー)を咲かせるには、土壌や肥料で調整するのが確実です。

そしてもう少し情報をお伝えしたことが次のこと。

コンクリートやブロック沿いに植えないこと
コンクリ―トやブロック塀の傍に紫陽花を植えると、花色がピンク色や赤色に変化しやすいです。セメントの材料である石灰岩の影響で、土壌がアルカリ性に傾くためです。

青アジサイ専用の肥料を与えることで青色の花色になりますが、より確実に青色にするポイントは、蕾が形成される時にミョウバンやカリウムが多く含まれている液肥を与えることです。粒剤肥料より液肥の方が吸収性がありますので、液肥を選びます。肥料は元肥(植える時に、すでに入れておく肥料のこと)を入れつつ、追肥をすることで花色をさらに調整していきます。

PH測定器

育てている紫陽花の土壌環境が酸度なのかを知りたい方は「PH測定器」を一つ持っていると便利です。酸性度と水分量の2種類を測れます。弱酸性の雨が降ったり、肥料が足りないときはphの値が変わってきますので、ph測定器で紫陽花の育っている今の土壌分析ができます。ph測定器はどんな種類でも問題ないので使いやすいもの1つ持っておくとよいでしょう。

おススメの青アジサイ

最後におススメの青アジサイをご紹介します。

ドリップ

花びらの中心は青色で外縁にむけて白色のグラデーション仕様になっています。ガクアジサイで土壌の酸度で花色が変化します。花房20㎝程度。快晴の空のような澄んだ青色の花弁で装飾花はおおきいものは8㎝にもなります。

白い覆輪は太めなので豪華さがあり、花のまとまりもよい品種。
   

 

フェアリーマーブル

ポップコーン

 

関連記事
地植えではなく鉢植えで購入した紫陽花を小さめにコンパクトに育てたい方のコツは剪定です。鉢で育てた方がよい品種や鉢植えの方が管理がしやすい環境等、そのままずっと鉢で育てたい方はこちらの記事を是非、読んでくださいね!

紫陽花の花色を変えることは、品種元来の花色が固定されていますので難しいと言えますが、その品種の色味に沿った育て方をすることで、紫陽花の魅力を最大限に味わうことができます。

日本の土壌や雨の環境的要因上、主に青色紫陽花になりやすいですが土や肥料にひと手間かけてみるのも色味が安定した青紫陽花を育てる楽しみの一つになりますよ。

おしまーい。

スポンサーリンク
おすすめ記事