園芸店に並ぶ紫陽花はたくさんの種類があって色鮮やかな大きな花を咲かしているのでついつい一目ぼれして購入したくなるものです。そんな時、気を付けて欲しい購入のポイントが育ってきた「紫陽花の過去」です。これまでどんな育て方を受けてきたのかを知ることで、今、元気な株であるのかそれとも弱っている株なのかを見極めることができます。これからもすくすくと育ってくれる紫陽花を購入するため、最初の株選びは大切です。今回、紫陽花を購入するときに確認をして欲しい6つのポイントをお伝えします。
目次
葉が黄変していない
株元の葉が黄色く変色したり、苗全体の葉が黄色くなったりするのは理由があります。葉は本来、葉緑体が機能しているため緑色をしてますが、葉が黄色ということは葉緑体が機能できない状態下に苗が晒され続けていた結果であることが分かります。葉が黄色いということは苗の生命維持が危うくなっている危機的状況です。植物が葉を枯らさないといけない(≒植物が葉を老化させている)ということは、葉の維持より大切な存在があって葉にエネルギーを行き届かせている場合ではないからなんです。葉より大事なもの、それは植物を支える主軸となる幹(茎)だったり子孫を残すための花(種子)なんです。その主軸に栄養を行き届けるため光合成で貯蓄した葉の栄養素を分解して、主軸の幹や花に移動させて葉の栄養素を再利用させています。そのぐらい、葉が黄変するということは植物にとって深刻な問題です。
販売用の苗は矮化剤を使ってコンパクトに育てられています。大きな花房で開花しているのに対して小さな鉢で育てられています。そのため、寝詰まりや水枯れ、肥料不足、店内の販売による日照不足で光合成量の足りずに苗が弱って葉が黄色くなってしまいます。回復するかと言うと、紫陽花は比較的強い植物なので回復する傾向がありますが、葉が黄色なってしまってからどのくらい経つのか、黄変した程度にとって回復力が異なってきます。
「葉が黄変」している時期もポイントです。紫陽花は落葉樹ですから、落葉時期は葉が黄変して枯れ落ちていきます。これは落葉樹のプロセスなので、肥料不足や日光不足、寝詰まりとは無関係なので心配しなくても大丈夫。落葉は黄変というより茶褐色に近いですね。ただ、園芸店など紫陽花の販売時期は開花時期である4~6月が主流なのでこの時期に購入する場合は、落葉はしないので葉が黄色をしているときは何か原因があります。
葉は緑色をしている紫陽花を購入します。紫陽花にとって多少、葉の色が違いますが、黄色していないこと、葉に艶があり葉全体がムラなく緑色をしていることがポイントです。
生育不良の原因の一つで「葉の黄色」ことを挙げましたが、購入する株が病気に感染していないこともチェックする必要があります。紫陽花の病気についてはこちらの記事に写真付きでまとめてあります。
それでは、購入時に確認して欲しい葉に注目したもう1つのポイントをお伝えします。
茎の下部にも葉がある
紫陽花の葉は多い方が今後の成長がよくなります。肥料不足や根詰まりになると株の下の葉から変色をして落ちていきます。これは鉢植えの植物にはありがちな現象です。販売中の紫陽花はほとんどが挿し木から育て始めて1年生の苗で、成長抑制ホルモンである矮化剤を使っているためコンパクトに育てられた小さな苗です。開花後に花房を剪定すると予想以上にさらに小さな株であることが分かります。購入時は花を剪定した時の姿を想像すると株の大きさが把握できます。そのサイズがこれからお付き合いしていく紫陽花になります。小さな苗がこれから頑張って元気に成長していくためには葉で光合成をして生命維持のためのエネルギーを生産していく必要があります。そのエネルギー生産工場である葉をたくさん確保しておくことが大切です。そのために1枚でも元気な葉が茂っている苗を探して購入するようにします。
茎の節が多い株
紫陽花の葉芽や花芽は茎の節目に形成します。植物の勢いは葉の数と比例するともいわれるので、葉をたくさん茂らせるためにも葉芽がでる茎の節目が多い、もしくは、茎が太く節目が緑色でしっかりしているもの、節目に小さくてもいいのでわき芽が出ている茎を選ぶようにします。
わき芽が形成される節目は決まっています。簡単に説明をすると、花房の下に比較的小さな葉が2つあり、次の葉の節目からは芽はでません。花房から比較的小さな葉を1番目と数えると、三番目の葉がある節目から根にかけての節目に芽がでてきますので、その節目が多い方がよいです。
さて気になる方は「茎の節目の間隔って長い方がいいの?それとも、短い方がいいの?」と疑問に思うかもしれませんが、これは品種によって多少、節ごとの長さが変わってくるので一概にどれがいいという目安のお伝えが難しいところです。「品種によって多少違う」ということは、紫陽花の成長スピードやどんな場所に植えたいか、庭植えなのか鉢植えなのかなどで紫陽花の品種選びの参考になるヒントになります。
剪定の切り方(枝の切り口や切った角度)
販売中の紫陽花は1年生のため小苗で、開花前から開花始めのため剪定前の状態です。しかし店頭の陳列で茎や枝が折れてしまったり、開花後の時期外れの紫陽花を購入したりする場合はもう一つ購入チェックポイントが増えます。それが「剪定の切り方」です。剪定を失敗すると苗木の枯れ込みや株が弱ってしまい徐々に枯れてしまうこともあります。表面上は特に問題がありませんが、剪定をした枝や茎を切ってみると、茎の髄が褐色になって腐敗していることがあります。これは、正しい剪定ができていないために腐朽菌が入ってしまったり、水や栄養の通りが遮断され行きわたらなかったり、剪定時の時期が悪かったことによる枯れ込みが原因です。
正しい剪定をすると切口にカルスが形成され、切口から細菌の侵入を防ぐことができるので木は枯れ込むことがありません。ただ、カルスが形成されていなくても腐朽菌が必ずしも侵入するということではありません。
蕾があり、花色が開花前の淡い色
花房が開花して間もない状態を購入すると長く花を楽しむことができます。紫陽花の咲き方には、「ガク咲き」と「てまり咲き」の2通りがあり、それぞれ次のような特徴があります。
ガク咲き
てまり咲き
装飾花が球形になって密集して咲いています。華やかな印象を受けます。
どちらの咲き方の紫陽花でも購入時の共通点は、すべての花が咲き切らず、薄い花色を選びます。もとより花の色が薄い品種もありますが、咲き始めは透き通ったような淡い色をしていることがポイントです。日に日に、花色は濃くなり、満開時の色ははっきりとした花色になります。
品種で成長した親株の姿が異なる
購入するときの紫陽花は、様々な品種が並んであるのにも関わらず鉢や樹高、花房の数、大きさなどある一定のサイズに揃っています。これは、矮化剤を使って成長を抑制して一定の大きさになるようにコントロールしていています。よく、購入後に地植えにしたら大きく成長しすぎたとか、植替えたら予想以上に紫陽花が繁茂したなど経験があると思いますが、一つの原因に矮化剤の効果が薄れたもしくは効果の効き目が切れたため品種がもつ本来の特性が現れた姿ということです。その他に日光や風通し、気温など生育できるよい環境下になったことで成長が促進されることも一因です。
紫陽花は様々な品種がありますが、どの品種もイメージと同じ姿に成長するとは限らず、成長スピードや葉の大きさ、株の広がり方(縦に伸びるのか横に広がるのか)、樹高はどの程度まで多くなるのかなど品種によって違いがあります。
購入前の紫陽花の苗はまだ1年生であり矮化剤を使っているので、コンパクトに育てられていますが、適切な環境で矮化剤の効果がなくなったときの姿は変わって、品種本来が所有する本来の姿になりますので、好きな紫陽花が見つかったらその品種に沿った育て方、置き場を考慮して購入すると育てる楽しみや育てやすさが変わってきます。
最後に
(見極めポイントの一覧)
紫陽花の苗選びのポイントを一覧にまとめました。欲しい紫陽花の品種があったら、葉・茎・花を見比べてよい花鉢を選ぶようにしましょう。
葉に艶があり緑色をしている
⇒黄色していない(落葉期を除く)
※品種によって多少、葉の濃いさは違う
②葉の枚数が多いこと
⇒節目から葉芽が形成されるため
④蕾がある
⑤咲き始めで透き通った花色
⑥品種によって成長スピード、置き場、育て方の違いが異なっているため。最適な環境下で育てられる品種を選ぶと購入後枯れずに元気に育ってくれる
おしまーい。