紫陽花の茎の中が食害で空洞になった!害虫はコウモリガの幼虫

紫陽花がコウモリガの幼虫の食害で、茎の中が空洞になってしまいました。食害の様子や対処の仕方についてまとめました。

紫陽花の枝が1本だけもしくは数本だけ折れていたり枯れたり、蕾がぐったりする原因は、害虫が茎を食害している可能性があります。茎を観察すると、小さな穴が開いていて、その周囲に白色のコノギリくずみたいな塊がたくさん付着しています。害虫は蛾の幼虫で、特に紫陽花に症状が現れた場合はコウモリガの幼虫が原因であることが多いです。今回、紫陽花の害虫「コウモリガ」について食害の様子やその対処法をまとめました。

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コウモリガとは

生態サイクル

コウモリガは蛾の仲間で、9~10月の秋にふ化した幼虫は夜間に飛びながらたくさんの卵(約3,000~5,000個)を地上にばらまくように産卵します。地面に落ちた卵はそのまま冬越して、翌春にふ化します。ふ化した幼虫はヨモギなどの草本類(雑草)を食べてある程度成長したら5~6月に紫陽花やブドウなどの幹に移動し茎や枝などの樹に穴をあけて髄を食べながら食害した木の中でまた冬を越し次年の夏にふ化して秋に成虫になります。

それでは、コウモリガの幼虫による食害にあった紫陽花の様子を見ていきましょう。
幼虫も現行犯で捕まえたので正体のお顔も載せています。

食害された枝の症状

元気がない我が家の紫陽花。よくよく観察してみると、茎に穴が開いていて、白色の粒粒したノコギリくずみたいな塊がその穴付近にいっぱいついていたのです。

枝に穴が開いて、木くずがでています

茎に穴が開いて糞が出ている

茎に白色の小さい米粒みたいな塊がいっぱいついていて、軽く取り除くと茎に穴が開いていました。この茎に侵入するために開けた穴は、「排出孔(はいしゅつこう)」と呼ばれています。


排出孔ということは、この白色の粒粒した塊は、もしかして幼虫の糞??
手で触っちゃったよ~。

幼虫は、茎の髄を食べて、排出孔から白色のノコギリくずを糸でつづった糞を出しています。茎に糞がついているので、目で見てなんかおかしいなと気づくことができます枝に穴が開いていると、切ってみよう!となっちゃいますよね。そこで、早速、茎を切ってみました。

茎の中は空洞だった

茎の髄を食べられて空洞になっています。

茎の中は、こんな感じ
  

枝を切り落としてみた

幼虫を探して枝を切ると、幼虫は、排出孔から根元に向かって茎の髄を食べていました。新芽の節、手前まで切ってみましたが、まだ空洞になっていて新芽の手前まで食害にあっていました。せっかく大きくなった新芽も切ってさようならしなきゃいけない状況でした。

いったい、誰!!こんなに食べ尽くしている虫は誰なの!?〈心の声が叫びそう〉幼虫がまだ出てこないので、さらに茎を切ります。

新芽さん、さようなら。

茎を切るときはバッサリと切ります。

根本付近まで茎を切って、やっと元通りのキレイな茎の髄が見えてきました。結局、8㎝ぐらい茎を食べられていました。もう少しで紫陽花の土台の幹に被害が及ぶところでした。

切り口には、病原菌の侵入や枯れ込みを防止するために、殺菌剤を塗ると樹液が漏れたり、切り口の乾燥を防ぐことで枝の枯れ込み防止や雑菌の侵入を防ぐことができます。

紫陽花の茎を食害する幼虫はいったいどんな顔をして現れるのか知りたくて、幼虫が隠れている茎の節を確保しました。幼虫を傷つけないように、茎を割ってみることにしました。その前に、グロテスクな虫をみたくない方もいらっしゃると思いますので、見たくない方はスルーしてくださいね。

虫を発見!害虫の正体とは

を割ると、ちょこんと偵察しに顔をだしているコウモリガの幼虫を現行犯で捕まえました。

コウモリガの幼虫

犯人は、こんなにも小さな幼虫でした。それでも幼虫の体長は1㎝前後でした。すぐにペーパーで包んで新聞紙で二重に包んで、念入りに袋に入れて、しっかり封をしてゴミ箱へ処分しました。こんだけ頑丈に封をしたら、さすがにもうお目にかかることはないよねという気持ちです。

「さようなら、幼虫さん!今まで茎を食べれて美味しかったね」とお別れの言葉を伝えました。さて、この幼虫の種類は食害の特徴と幼虫の様態より「コウモリガの幼虫と推測されます。特徴は、体の各節に褐色の斑紋があります。

コウモリガの幼虫の特徴
 紫陽花の茎内に侵入し、芯部に孔道を開けて食害していた
 排出孔(茎に侵入するために開けた穴)から白色の細かい糞を出していた
 虫糞が袋状になって被害部分を覆っている
 体の各節に褐色の斑紋がある
 生態サイクル上5~6月に茎を食害している幼虫
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防除法

食害に遭った枝を切り落とす

幼虫は茎の中にいて空洞になった茎は残しておいても枯れてしまうことが多いため、幼虫が食べて空洞になった茎を切り落とすことが手っ取り早いです。茎に潜り込んでいる幼虫には殺虫剤が届かなかったり効果が発揮されなかったりしますので、幼虫のいる部分を含めて茎を切り取って処分するのが最も効果的ですが、たくさんの食害の被害を受けていると、手の打ちどころがないという方もいらっしゃると思います。そんな時は、薬剤を使って防除することもできます。

殺虫剤のご紹介

コウモリガの幼虫は、茎や果実の中を食害しますので、土壌に撒くタイプの駆除剤が効果を発揮します。一般的には、スミチオン乳剤などを定期的に散布します。しかし最も有効な予防方法は確立されていないのが現状です。

周囲の草払いをする

紫陽花に害虫が来ないように、紫陽花の周囲に生い茂っている草や木などがあれば伐採し、少しでも虫の住みかとならないようにすることも対策の一つです。コウモリガはふ化した後に、雑草を食べてある程度成長してから、苗木に潜り込むます。そのため、ふ化直後に食べる雑草を取り除くことで、苗木への食害拡散を防ぐことにつながります。

最後に

紫陽花の食害は、バッタなどの虫をイメージしていましたが、茎の中に幼虫が住み着くなんて意外でした。紫陽花は育てやすい植物ですが飛来してくる蛾への対処法は難しいものです。害虫が多い時期には薬剤を定期的にまいたり、周囲の草刈りや繁茂している雑草を伐採したりして、日ごろより紫陽花を観察することが予防策と言えます。

それから、コウモリガの食害にあったら、ためらわずに茎を切るようにしましょう。たまに針金で虫を指して駆除するという方法が挙げられていますが、私には虫を刺してしまうのは気持ち的に無理なのでこの記事では割愛させていただきます。茎髄が食べられた空洞の茎は、栄養分が行き留まってしまうので、枯れたり、折れたりしてしまいます。コウモリガの幼虫に食べられた茎や枝の寿命は短く、長く育った実例はないようです。

おしまーい。

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