保育園に通うと「鼻水は永遠の悩み」と錯覚していつの間にか「鼻水がでるのは仕方ないこと」とそのまま何も対処せずに過ごす子どもは多いものです。「発熱」「鼻水」「咳」の症状が見られたので、風邪だと思いながら念のために小児科を受診したら、驚くことに突然「RSウイルス」と診断されました。今回、「RSウイルス」の症状について、また、「RSウイルス感染症」と診断されるまでの子どもの体調の様子、感染したら自宅ですべきことをまとめました。
目次
子どもの体調
鼻水が出始めた
子どもがくしゃみをしていたので、室内にある埃が原因かと思い掃除をしようと思っていたところ、青鼻がで始めました。その他の初期症状は特に気になりませんでした。
咳が出始めた
今まで風邪を引いて咳をすることがありませんでしたが、今回は、朝起きた時と活動時間にほんの少し2~3回ほど痰が絡むような咳をしていました。
微熱が3日間続く
熱は高くて38.0℃前後で、下がったり上がったりと熱の出方に波がありました。保育園に預けていると熱が上がった時に毎日、連絡をいただいていました。
○○ちゃんが37.8℃まで熱が上がり、アクエリアスを飲ませて昼食を食べたら37.3℃まで下がりました。一応、ご報告いたします。
次の日も保育園から電話がありました。
微熱が37.5℃あります。37.5℃なので園の規定により電話連絡ですが、38.0℃まで上がればお迎えをお願いします。
さらに、3日目もまた電話がかかってきました。
最初お熱を測ったら37.8℃あり、今は37.5℃まで下がっています。また様子を見ておきます
保育園によりますが、園の規定で「38.0℃」になるとお迎え要請がかかります。38.0℃以下の微熱が続いたので、園に子どもをお迎えに行くことなく1日保育ができていました。3日目になると違和感が残りました。このまま微熱が続いても体力がなくなる一方であることや。風邪だと思っているけど他の感染症なのかもしれない、それならそれで風邪薬をもらいに行こうと考え、子どもクリニックを受診しました。診察をすると、安易に「風邪」だと思っていた症状が、「RSウイルス感染症」と診断されたのです。これから、どうして「RSウイルス感染症」と診断されたのかお伝えしていきます。
「RSウイルス」と判断された基準
問診で伝えた内容
問診で伝えた内容を箇条書きでまとめます。
咳がでる
熱がある
食欲がない
下痢はしていない
機嫌はよい
診断基準;症状(鼻水・微熱・咳)
鼻水が1週間ほど続き治る様子もなく、咳が出始めたことや下がったり上がったりする熱があることを伝えると、主治医がほぼ確信をつきうなずきながら、こう話されました。
判断基準:検査による「陽性」
綿棒で鼻水を採取し検査キットで処理すること10分後で、結果が分かります。その結果を以って陽性なら、RS確定となります。
感染症について
「RS感染症」とは
「RSウイルス」は風邪の原因ウイルスの一つであり、呼吸器疾患を引き起こす病原体です。潜伏期間は2~8日で、典型的には4~6日とされています。「咳」「鼻みず」「鼻づまり」など風邪の症状から始まり、しだいに咳がひどくなりゼイゼイと苦しそうな息になってきます。乳児から高齢者まで発症しますが、1歳までに70%の乳児が感染し、2~3歳までに100%感染します。1度かかっても抗体ができにくいため、何度もかかる人がいるようです。咳や鼻水がでるなどの軽度の症状は「気管支炎」という区分ですが、RSウイルスが気管支が枝分かれ細くなった部分の「細気管支」に入り込み炎症を起こし、狭小化や閉塞になると悪化した状態であり「細気管支炎」に区分されるとのことでした。
子どもは重症化しやすい
生後6か月未満の赤ちゃん、未熟児や生まれつき心臓病がある子などは重症になりやすい傾向があると言われています。咳や症状が重症化したり、肺炎になったりすると、入院して酸素吸入が必要になる場合もあります。RSウイルス感染者の4割が中耳炎や肺炎になることが知られています。
重篤な合併症として注意してほしいものは、無呼吸、ADH分泌異常症候群、急性脳症等があります。平成24年の人口動態統計によると、日本国内のRSウイルス感染症による死亡数は、2008~2012年の5年間で、年平均31.4人(28~36人)と報告されています。
RSウイルス感染症は、乳幼児の肺炎の原因の約50%、細気管支炎の50~90%を占めるとの報告もあります。また、低出生体重児や心肺系に基礎疾患や免疫不全が存在する場合は重症化のリスクは高く、臨床上、公衆衛生上のインパクトは大きいです。
「RSウイルス感染症とは」感染症予防接種ナビ
感染源
感染源は、接触感染と飛沫感染です。
唾液や鼻水がついたおもちゃに触れた手指を介して感染する「接触感染」や咳やくしゃみでの飛沫を介した「飛沫感染」によって感染します。
流行時期
インフルエンザと同様の冬場9~10月頃からはじまり、12月頃にピークを迎え、3月頃までが感染時期です。しかし、最近では夏場から「RSウイルス」に感染する子どもがいるとのことでした。
処方薬がない
処方薬はなく「RSウイルス」は飲み薬が効きません。鼻の通りをよくし、症状が自然と治まるのを待つしかありません。
ワクチンや抗ウイルス薬の開発がすすめられているが、まだ実用化されていない。
飛沫感染や接触感染により感染するため、手洗いの励行等一般的な予防法の励行が大切である。RSウイルスに対する遺伝子組み換え技術を用いたモノクロナール抗体(パリビズマブ)には感染予防効果があり、RSウイルス感染症の流行期には、早産児、新生児慢性肺疾患、先天性心疾患、免疫不全等の基礎疾患を有する乳幼児等に対して、毎月筋肉内投与がなされている。特異的な治療法は確立されていない。
完治まで
初期症状の発熱は、3~4日で治まりますが、その後も痰がつまった咳や鼻水は続きます。早い子どもで約2~3週間で症状が治まり、長引く子は約2~3カ月にわたります。
完治するまでの「RSウイルス」感染の症状や体調はこちらの記事にまとめています。
体調が気になる方はどうぞ
最後に
(看病で気をつけること)
鼻水の状態をキープできるように室内は加湿をしてくださいと言われ、「とろぉ~ん」とした鼻水を出し続けることが大事とのことでした。空気が乾燥すると鼻の中で鼻水が固まってしまうので、それを防ぎ鼻水をたくさん出し、鼻の通りをよくしましょうと主治医からアドバイスをいただきました。
「RSウイルス」感染が一番怖いと思ったのは「肺炎」や「中耳炎」の合併症を引き起こし入院しなければならいということでした。そして、子どもが2~3歳までに一度はかかる病気であることです。
手洗いうがいをこまめに行い、「RSウイルス」を体内に持ち込まないようにしましょう。
おしまい。