根巻きの樹木を購入したらすぐに植え替えてあげることが鉄則です。しかし、すぐに植え付けられず、さらに水かけを忘れて乾燥させてしまうと、植え付けをする時に根が少なかったり傷んでしまったりします。そうなったら今後枯れずに生育ができるのか不安になると思います。今回、サザンカには申し訳ないですが、購入後放置してしまった根巻の様子とその後の生育について、写真と時系列でお伝えいたします。
目次
根巻きは早めに植え付けする
前置きとして、本記事の主役であるサザンカ「花御堂」の紹介をしますね。花御堂を購入したのですが筆者の管理不足ですぐに植え付けることができなくて樹木を傷めてしまいました。しかし、樹力が回復して花を咲かせてくれた樹木です。
サザンカ「花御堂」の紹介
雨季が終わった7月頃、庭に植え付ける花を模索中していたら赤白の2色咲きのサザンカに出逢いました。そこで、冬に咲く花としてサザンカを購入することに。八重咲きもしくは、ボタン咲きで、きれば絞りが入った花を咲かせる品種である「花御堂(はなみどう)」を購入することにしました。
サザンカ「花御堂」
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根巻きを購入後2か月放置した
7月に花御堂を購入してすぐに植え付けができませんでした。どんな土に植えたらいいのか、悩んでいた時もあって、届いた根巻きの状態で1シーズンそのまま放置していました。一番、植物が苦手な猛暑である7月、8月を根巻きの状態で過ごさせてしまったんです。
夏越した根巻の様子
(購入後2か月放置)
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夏越し中の場所(保管場所)は日陰で、放置していたといっても1~2日間に1回は様子を見ながらたくさん水を与えていました。夏越した根巻きの様子を確認すると、麻布から少し白根がでています。麻布の表面はコケみたいな緑色が付着していて、底はカビが生えているのか黒くなっていました。
やっと9月上旬に植え付けをすることにしました。根巻きをしている布は麻なので植付け時にそのまま土の中に植えこむと腐敗すると根が栄養として吸収できます。そのまま植え込んでよいのですが、さすがに約2か月も放置していたので、根がどんな感じになっているのか気になるところです。麻布にカビが生えているなら一緒に植えたら菌が繁殖しますからね。ですから、根巻きを開封することにしました。
根鉢が崩れて根が少ない
根巻を開けると本来、土が団子みたいになって根を囲んでいる状態(≒根鉢)なのですが、土の色も悪く、乾燥気味の土は固くなってボロボロに崩れ落ちてしまいました。根鉢は崩さず植え付けることが基本ですが、放置していた根鉢は側根もなく根のまとまり感がないため土を保持できずに崩れてしまいました。根鉢の土を落とすと幹の主軸(根の部分)が切られていて、根はほとんどありませんでした。
根巻きの放置はNG・理由
根巻きの放置は、根を傷めてしまうことにつながることが分かりました。ポット植えは購入して一時はそのままでも生育ができ、根詰まりをしない限り植え替えをしなくても育てることができます。しかし、根巻きの場合、根鉢をつくる前の樹木の状態を考えると、根巻きは運送しやすいように樹木に肩身の狭い思いをさせている状態です。根巻き前の状態は、樹木は地植えされていることがほとんどです。地植えでは、根は自由に成長でき伸びていきます。気持ちよく育っている状態の樹木を発送のためにわざわざ掘り起こしているんです。そして、根巻にするために形を整える必要があり、はみ出た側根は切られてしまいます。つまり、樹木にとって命である根を切られてしまっているんですよね。巻かれた麻布の中には、必要最低限の土とカットされて傷んだ根が押し込まれている状態です。そんな状態で生きている樹木は、早く広々とした土の中に根を伸ばしたいし、栄養もたくさん吸収できる環境で育ちたいんです。
根巻きの状態ですと乾燥しやすく、限られた土の中では必要な栄養も吸収できず、傷んだ根は伸ばしながら修復することができません。そのため、根巻きの放置はせずに、早く植え付けをすることが大切ということがしみじみ実感できました。
根が傷んだ時の栽培ポイント
9月に植え付け(鉢植え)を行い、自然環境に任せながら土の表面が乾燥したらお水をたっぷりあげたり、活性剤をあげたり、できることは諦めずに毎日、サザンカの面倒をみながら栽培をすると、意外と元気を取り戻し樹力を回復してくれます。
地植えと鉢植えはどちらがいいの?
前章でお伝えした通り、根巻きは比較的大きな樹木の運送方法です。そのため、できれば地植えがいいです。地植えにする場合、定植となりますので地植えする土が植物を育てるために適した土壌なのかを見極める必要があります。特に傷んで少なくなってしまった根を馴染めない土に地植えをすると、生育が鈍くなるか、もしくは枯れてしまうこともあります。地植えをしたら樹木を簡単に動かすこともできませんので地植えをしたその環境と直で向き合うことになります。
鉢植えの場合、根鉢がすっぽり入り余裕がある鉢を探す必要があります。樹木は根が下の伸びるものがほとんどですので、浅い鉢より深さがある鉢がおススメです。樹木用として販売をしていることは見かけないので、果樹用として販売されている鉢が深さがあります。
樹木の鉢植えで使っている果樹用の鉢1つ目
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鉢植えのデメリットは水切れを起こしやすいことです。そのため水をあげることを忘れないようにしましょう。特に植替えをした2週間、1~2カ月は根が伸びるまで「水は命」です。そして、ある程度成長して樹木が丈夫になって樹力を取り戻してから再度、植替え時期を見計らって移植作業をすることになります。鉢植えですと、肥料の補充や水管理、季節に合わせて適切な場所に移動をして育ててあげるなど、こまめな管理ができます。
鉢植え・置き場所の3条件
育てる環境、つまり、鉢の置き場は本当に大事です。人も過ごしやすい環境が一番なのと同じで、サザンカも暑かったり寒かったりと環境に変化で体調を崩してしまうことも。特に弱っている時は適切な環境での療養が必要です。その点、鉢植えは植物の状態に合わせて適切な環境下に移動することができます。日中の置き場によっては日照時間が長くて葉が日焼けをしたり、西日が当たる場所だと植物も疲れてしまいますし、時期と方角で風向きが強くて乾燥や葉が傷むこともあります。いろんな環境条件を潜り抜けて、その場その時にあった環境で育てることが大切です。おススメの置き場は、朝陽は当たるけど西日は当たらない場所は外せない条件です。
①朝陽が当たるけど西日が当たらない場所
②風の通り道ではない場所
③木陰
枯れたサザンカを回復させたお手入れや管理
根は樹木を支え生育するための土台であり基盤です。根が伸びるためにの条件は「水」です。水と養分(肥料)を求めて伸びていく傾向があります。
植物の種類は違いますが紫陽花を話題に根が伸びる(≒発根)環境や条件をまとめています。根の伸長を助けるという意味では参考になる記事になっています。
栽培管理は、品種の育て方にそって管理をしていきますが、元気な苗ではないことや根が傷んでいることを考えると、植え替えてすぐに肥料を与えないようにします。根が少し伸び始め、元気がでてきた状態で肥料をあげるようにします。人に例えると風邪を引いている時に焼肉や脂っこいものを食べられないのと同じで、食べたら、逆に胃もたれして悪化してしまうこともあります。(*'ω'*)
植物活性剤として葉液散布をしてあげるといいですよ。
花御堂の開花
回復したよ
さて、9月に鉢植えにして見守りながら育てたところ、樹木は回復をして開花時期に花を咲かせてくれました。(支え棒しています)
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では、サザンカ「花御堂」の開花の様子を掲載しますね。
11月蕾が膨らみ始める
11月中旬ごろから蕾が膨らみ、開花します。サザンカとは思えないぷっくりした花はじめです。椿と間違えそうですね。
12月 開花
蕾が開き始めて3日ほどすると、だいぶ花びらが開いてきました。もう、12月です。鹿児島では12月上旬になると霜が降り始めます。
満開
朝、霜が降りていてもキレイな花を見せてくれます。このぐらいが満開の開き具合です。
次々に開花
11月から開花をし始めて、12月は満開の花もあれば蕾が膨らみ今後、開花してくれる蕾も見られます。
最後に(まとめ)
購入してすぐに植付ができなくて、樹木を痛めてしまって可哀そうなことをしてしまいました今まで大事に育てて丁寧に梱包をしてくださった生産者さんごめんなさい。(+_+)
根が少ない状態で植替えをして条件が合えば根から水を葉に送ることができ、その後しっかり根付いて、寒くなった開花時期には見事な美しい花を咲かせてくれました。サザンカは比較的強い樹木のためある程度の負荷は耐えられるものですが、樹木の命ともいえる根が傷んでいても、本当に生存できその後も成長できることが分かりました。
根は傷んでいましたが、根に比例せずに葉は緑色をして元気でした。これからも大事に育てます。
サザンカ「花御堂」の紹介と、根が傷んで少なくても丈夫な樹木であることをお伝えできたら嬉しいです。
おしまーい。