「黄河」と呼ばれる椿の品種の開花状況をまとめました。蕾の状態や満開になるまでの花の開き具合、花終わりを時系列に沿って解説します。椿愛好家の方、椿に興味がある方、黄河がどんな花なのかを知りたい方向けに豊富な写真で椿の魅力をお届けします。
目次
希少椿「黄河」とは?
基本情報
園芸店や通販で一般的に記載されている「黄河」の基本情報をまとめました。
項目 | 詳細 |
系統 | ユキツバキ |
花色 | 淡黄色~クリーム色、白色 |
花形 | 獅子咲き |
花サイズ | 中輪・8~10㎝ |
花持ち | 1週間(5~8日前後) |
開花時期 | 早咲き 11月前後(10月後半~) ※唐獅子開花の数日後 |
特徴 | 咲始めは緑色の希少品種。 「雪小町 ユキコマチ」の自然実生から生まれた品種 |
樹形 | 叢性(そうせい) |
葉形 | 広楕円形、中形 |
ツバキを分類すると変種が2種類あります。ヤブツバキとユキツバキです。黄河はユキツバキの系統に属します。ユキツバキは、積雪地帯に多く分布しています。特に、鳥取県、福井県、富山県、石川県、新潟県、群馬県、山形県、秋田県、岩手県です。自生したヤブツバキを繁殖して多くの園芸品種を作っているのもユキツバキ系の品種です。耐寒性に富んでいて寒さに強く、積雪地ではよい品種群ですが、乾燥に弱く、寒風の当たる場所では生育が悪くなります。ユキツバキの歴史は近年で本田正次博士によって1947年に発表されたとのこと。花はサザンカのように開き、花弁は薄く、葉は大きく鋸歯のように葉淵はギザギザしています。葉柄には毛があり、花弁は薄いのが特徴です。
蕾~花終わりの記録
●10月31日-蕾-
黄河の咲き始めの色は、黄緑色です。椿の花は赤や白色がベースなので黄緑色は珍しいですね。若葉が芽吹いているような色味です。ちょっと硬そうな蕾に思えます。八重咲きなので花びらが重なっていてクシュクシュしています。薔薇みたいで可愛いという印象です。
●11月16日
朝陽が昇りそうな早朝に撮影した黄河の蕾です。だいぶ蕾が開いてきました。蕾の開き具合からも花びらが多いことが分かります。日に日に黄緑色が少し薄くなったように感じます。
●11月17日
外縁の花びらが少しずつ開こうとしています。開花までもう少し様子が分かります。1日1日すくすくと開花準備を進めているんですね。
●11月18日
蕾の状態から半開きしています。花びらは巻きながら蕾の中に納まっていたのかな?11月中旬ですが、朝はうっすら寒く、日中は暑かったです。椿は冬の花だけど、日中こんなに暑くてちゃんと開花してくれるのか心配です。夕方に観察したときはま段と花が開き始めていました。
●11月19日
この日は蕾がしっかり開花できた!と伝えてもいいぐらい、しっかりとした八重咲の花が開いていました。黄緑色だった蕾から比べると、花びらの表面は白色で、縁は薄い黄色からクリーム色で一部黄色が混じっています。雄しべは濃い黄色でインパクトがある一輪にまとまっています。
●11月20日
一段と花が大きく開花しました。雄しべの周囲にある花びらもだいぶ浮き上がって開いてきました。花を触ると硬く締まっています。
●11月21日
黄河が開花して6日目です。満開かな。
花弁の縁が薄い黄色からクリーム色で一部黄色が混じっていた頃からすると、花びらの先端(縁)はだいぶ色が抜けて白くなってきました。一方で、花びらの根本というべきなのか、花びらの蕚側の付き根は黄色くなっていました。
●11月22日
●11月23日
花終わりを感じ始めて2日目が経過。昨日と花の様子は変わりませんが、花全体的に膨らみ開いています。
●11月24日
花終わり3日目。花全体的にまだ硬さがありもう少し開花を続けられそうですが、花びら一つ一つに力(肉厚≒水分)がなくなっています。そのため、花びらの付根が見え始め茶色くなっているのが分かります。
●11月25日
「花後」と言える花色になりました。花を手で握ってグラグラしましたが、枝から花が取れそうではなく、枝と花がくっついています。
●11月26日
●11月27日
花持ち9日目。満開を1日目とした場合およそ8日目と査定できます。花の塊を触ると柔らかくフワフワしています。花弁自体も水分がなくなりピンと力強さがなくなってきました。花色も全体的に、どの角度で見ても茶色くなっているのが分かります。手で摘めそうぐらいの弱さです。
花摘み
花全体を浮かし持ち上げなら奥に押すと、花首が取れそうです。花奥は茶色くなっていることが分かります。
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持ち上げ、引っ張ると、花全体が取れました。花は柔らかくふにゃふにゃしています。
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取れた花の裏側です。椿は、サザンカと違い、一つ一つの花びらが落ちることなく、ひとまとまりで花摘みができます。
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花びらが取れた跡に子房が隠れています。
花柱が伸びていますが乾燥して茶色い
雄しべが見えている状態です。
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剪定はさみで、花と枝を切りました。葉芽がありますので慎重に剪定します。花が落ちるのを待っても大丈夫です。花後からもう少し時間が経過すると剪定ハサミを使わなくてもポロっと花全体を根本より取り除くことができます。(今回は、花後の剪定が少し早かったみたいです)
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切ってしまったので念のために、トップジンMを塗ることにしました。
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では、花摘みをした花後の花房の中身を解剖をします。
解剖してみた
花後を二つにカッターで割りました
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すると、花びらの隙間から虫がでてきました。すごく小さな虫で1mm以下です。写真でもピンとを合わせられないぐらい小さな虫です。小さなダニと蜘蛛です。
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最後に
黄河の開花の状態をまとめましたが、いかがでしたでしょうか。花もちは品種によってさまざまですが、11月の開花で霜が降りることはありませんでしたが、昼は外で育て夜は室内で管理すると約1週間ほど花を楽しむことができました。
今回の考察として、通販等の黄河の基本情報より開花時期は2~4月ですが、鹿児島では11月中旬から下旬にかけて開花しましたので修正しました。花形は、咲き始めは外弁は大きく、内弁は小さく湾曲となる獅子咲きですが、満開に近づくにつれて、花弁は内部では小さくなり雄しべと混ざりながら咲く八重咲きの中の牡丹咲きの咲き方をしました。黄緑色やクリーム色と位置付けられる黄河は、蕾から満開、咲き終わりと少しずつ花色が変化しました。
黄河の花が咲いたら、1日1日の開花を大事にして欲しいなぁ。
●更新 2021年11月6日
fa-check-square-o開花始め11月2日(1群目の開花)
10月下旬から本格的開花に向けて蕾が開き始めようとしていました。下旬と幅を持たせていますが、厳密には10月30日とかなので11月上旬と伝えてもよいかも。蕾の写真は11月2日。椿の蕚が茶色くなっているのはユキツバキ科の特徴です。花びらはキレイなので病気などを心配する必要はありません。
fa-check-square-o2年目の苗木:多くの開花に出逢えた
昨年は蕾が3個ほどで開花を楽しめたのは1輪。今年はたくさんの蕾に恵まれ、同時期に蕾が膨らみ開花できたので見ごたえある椿の木になりました。苗木が小さかったり樹勢が弱かったりすると開花へのエネルギーの配分で1輪ずつ咲かせていましたが、今年は1輪ずつ咲くものも次の蕾がすぐに開花してくれましたのでたくさんの椿花がついた状態を楽しめました。1~3日間で次々に1輪ずつ開花します。
・comming soon~椿の花を毎年咲かせる愛好家が実践している年間栽培の育て方とコツ
記事の準備ができ次第こちらにご紹介(リンク)します。
2021年11月2日
開花1日目(早朝撮影)
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2021年11月5日
開花4日目(夜撮影)
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●更新 2021年11月28日
さて、多くの蕾をつけてくれた黄河ですが、一度に全ての蕾を開花させるのではなく期間を開けて徐々に開花していました。開花始めが11月上旬ですと、1回目(=1群目)の開花が終わって約2~3週間ほどすると2群目の蕾が開花し始めていました。
fa-check-square-o2群目の開花11月24日
花持ちが約1週間(環境により8~9日)とすると、1群目の花が落ちてから約1週間数日後に2群目の蕾が開花し始めました。少しずつ開花して楽しませてくれます。ワンセットの開花で2~3の蕾が開花しました。まだ蕾はたくさんありますので、今後も楽しみです。
●更新 2022年12月12日
今年は昨年と比較すると少し遅めの開花で12月上旬に1つ目の蕾が開花しました。
来年も開花情報をお伝えできるといいなぁ。
緑色の椿、コナの魅力を伝えたいので関連記事をご紹介します。
おしまーい。