元気に成長をしていた椿がある日、突然落葉して細い枝が1本だけ取り残されてしまいました。椿は常緑樹(投稿予定記事)のため、葉が落ちることはないと考えがちですが、実は落葉してしまうことがあります。椿が落葉する原因は大きく2つあり、その内1つを本記事でご紹介します。
症状
花芽形成期に、確実に花芽が形成され順調に育っていた椿は7月中旬~下旬に、葉がなくなってしまい茶色の1本の枝が不自然に目立っていました。
落葉時の椿全体の写真
黄緑色の矢印:花芽
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数多くの花芽がありますが、葉が落ちた裸枝が1枝。その様子を拡大しますね。当初、枝の先端にさらに細い枝があり、細い枝に約8枚の葉がついていました。しかしある日を契機に葉がすべて落ちてしまいました。そこから不要な枝を剪定した枝が次の写真です。
(分散してあちらこちら点々と一枚、二枚と枯れた場合は別な原因がある)
fa-check-square-o日にち~週単位で枯れてしまった
⇒月単位で徐々に枯れていない。
fa-check-square-o樹木全体的に生育がよい
⇒落葉は一部の症状
落葉の原因
落葉の症状から原因を分析すると、枝が細く貧弱なため葉を維持できるほどのエネルギー・体力がなかったことです。
樹木は成長が緩やかで2~3年かけて一つの枝を充実させますので、歳月をかけて育成してきた自らの体の一部を、失くしてしまわないといけないほどの状態だったんだね。。
➊ 気温
椿は科により住みわけがあり生育の分布が異なっています。ユキツバキ科が育つ地理的環境である分布は次の通りです。
ユキツバキの分布は本州の日本海側の諸地域に限られ,南限は滋賀県北部(36N),北限は秋田県田沢湖南部(39層)であるが、水平分布や垂直分布の幅や分布の密度からすれば,新潟県がその分布の中心域に当る。
ユキツバキは.多雪地で積雪中に保護されるところに限って分布し,少露地に生育しない。
❷ 水
水かけが足りなかったかな・・・。
❸ 土壌
今回は鉢植えの椿。地植えと違い鉢植えは根が張る面積や用土が保持する栄養素が限られていることです。根が張る面積が狭いことで根詰まりをしたり、根が張りすぎると保水力が下がってしまい乾燥しやすくなったり、また用土が硬くなることにより根の呼吸に影響を及ぼしたりすることが懸念されます。鉢の中では、微生物や土壌細菌の繁殖も限界があり、自然界(生態系)による栄養素の補給が少なくほとんどは栽培者が与える肥料による成分が樹木が生育するための要素・ミネラルになります。痩せた用土で育ててしまっている結果になりかねません。鉢植えと地植えに共通する項目としては土壌に住むミミズの浸食。地植えであればモグラによる被害もあります。
症例の椿は、昨年の春に植替えを行い用土は2年目。適した時期に化学肥料(置き肥と液体肥料)、有機肥料も合わせて施肥しているため、土壌の栄養は原因から外すことができます。本年の春には新葉も芽吹き、昨年と比較すると一回り樹木が大きく成長している点も含めると、土壌による被害や原因は考えられにくいと判断できます。
最後に「❹植物の代謝」について考えます。
❹ 樹木の代謝
最後に「樹木の代謝」。生命の維持活動の兼ねあいを確認します。冒頭でお伝えしました通り、枝の先端が落葉した主な原因は、繰り返しになりますが「枝が細く貧弱なため葉を維持できるほどのエネルギー・体力がなかったこと」です。(i)季節的な樹木の代謝なのか、(ⅱ)環境的要因により樹木の代謝が関与しているのかでニュアンスが異なってきます。
貧弱な細い枝の対処
枝の状況を確認
枯れた枝や剪定してもよい枝などの見極め方の一つともいえる「枝を手で触って曲げる」ことで枝の状況を確認できます。手で枝を曲げた時”ぐにゅ~。”と簡単に曲がり枝の力が弱いことが実感できます。枝に樹力がなく水分が抜けている状態≒水循環ができていない。水循環をする必要がない枝かどうか見極めることができます。
枝が元気であれば、手で曲げた力に背くようにもとに戻ろうとする力が強く、これ以上曲げたら折れてしまうのではと思わせるぐらいです。
枝に元気がない場合、細く貧弱の枝を残しても意味がありませんので剪定をします。
細い枝から新芽がでたとしても細い枝しか形成されないことや、細い枝につく花は小さく弱い花が開花するかもしくは花がつかない傾向があります。
剪定
剪定をする時は、ブランチカラーを意識して剪定し、切り口に防腐剤を塗ります。
剪定後にトップジンMを塗りました
切り口の枝の様子。1~2年生の枝です
緑色ですが、茶色になり枯れます
生育状況
剪定2~3カ月後の樹木の状態をお伝えします。トップジンM(防腐剤・殺菌剤)を塗ったことや適切な切り方により、大きな幹を枯らすことなく剪定切り口の少し上に出ている葉も枯れることなく生きています。3か月後には蕾が肥大化し開花しました。
剪定2か月後の切り口の様子
オレンジ色のトップジンMが白色に変色している
剪定3か月後の切り口の様子
トップジンMが分からなくなった
椿全体を見ても切り口が分からない
剪定した上の幹も元気。葉も力がある
開花しました!
本記事でご紹介している椿が気になる方は関連記事より開花の様子をご紹介します
細い枝を剪定した3年後の椿の様子を投稿します。枯れることなく元気に成長していますよ。
管理と対策
来年の夏場は、今年より遮光をし直射日光が当たるのを防いだり、日差しが当たる時間帯(午前中・午後)、時間数も対策を試み育てる計画を立てていきます。
最後に
(まとめ)
今回の症状より、椿の枝の先端が落葉してしまった原因は「(ⅱ)環境的要因により樹木の代謝」が関与し、枝が細く貧弱なため葉を維持できるほどのエネルギー・体力がなかったことことでした。細枝の行く末は枯れてしまうこともあるので適切な剪定時期に切ってあげた方がよいことが分かります。
落葉するもう一つの理由は、前者の「(ⅰ)季節的な樹木の代謝」があります。次の関連記事でご紹介します。興味がある方は是非、読んでくださいね。