![椿の蕾・蕚が開花前に茶色く枯れた原因と対策-成長作用と水管理-](https://kagonmanoko.com/wp-content/uploads/2021/09/tsubaki-tsubomikareta00.jpg)
椿の蕾が膨らみ始めもうすぐ開花しそうなぐらい順調に育っている中で、蕚の縁が茶色・黒色に変色し始め、枯れてしまったという経験はありませんか。病気や害虫の被害が原因で枯れているわけではなさそうという疑問にお答えします。成長作用機能が影響しています!今回、開花前の茶色く変色し始め枯れてしまった症状を時系列で写真を載せ、枯れた蕾の中身がどうなっていたのかもご紹介します。
目次
蕾・蕚が茶変色し枯れた
肥大した蕾が途中で枯れたケース
●肥大し始めた蕾(観察1日目)
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【観察記録:肥大した蕾(10月29日)】
樹木全体的に蕾が膨らみ始めもうすぐ開花を迎える10月下旬、他の蕾と違って一つの蕾が蕚の縁が少しだけ、茶色くなっていることに気が付きました。
写真で紹介している椿はユキツバキ科のため、蕚縁が少し茶色くなる特性もあります。このぐらいの変色は許容範囲なのかと想定していました。
●縁が変色した(観察24日目)
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観察を続ける24日目(約3週間後)には縁がだいぶ茶色くなり始めました。変色面積が大きくなりました。しかし、蕾に艶もあり、ぷっくり丸みを帯びていましたのでもう少し樹木がこんごこの蕾をどうしていくのかの経過を観察していきます。
●蕚が1枚落ちた(観察27日目)
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蕚縁の変色が大きくなり、蕾の硬さを手で優しく触っていたら一番外側の蕚が落ちました。この時点で、外観は艶がありますが蕾自体に力がなくなっていることが分かりました。
開花は難しいのではと判断ができそうですが、もう少しこの蕾の経過を追って様子を見ていきます。
●蕾が乾燥した(観察36日目)
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蕚が少し茶色く変色してから約1か月後、蕾に力がなくなって蕚が1枚落ちてから約10日目の蕾は、引き締まりや艶がなくなり茶色く変色も進み、開き始めてしまいました。蕾を触ると力がなくなりフワフワと力もなく、柔らかい状態でした。元気な蕾の開花様子とは違った開き具合です。
fa-asteriskご紹介している椿の種類は「黄河」という品種です。元気な蕾の開花の様子を別記事でご紹介しています!気になる方は是非、読んでくださいね。
●蕾を取り除いた様子(観察36日目)
枯れてしまった蕾はもう開花ができない状態。そこで、蕾を優しく揉みもみしながら触ってみると取れそうでした。蕾の中身がどんな感じなのかも知りたいので、枝を傷つけないようにとってみることにしました。水分がなくなった蕾は簡単に取り除くことができました。
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●解剖した蕾の中(観察36日目)
蕾の中は、雌しべや雄しべが乾燥していました。幼虫や小さな虫など出てきませんでしたので害虫の影響で枯れてしまったわけではなさそうでした。
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fa-asterisk蕾や花が開花できない、もしくは茶色くなって枯れてしまった病気に「花腐れ菌核病」が知られていますが、今回の蕾の枯れ方は、花腐れ菌核病のような変色の仕方ではなく別な症状でした。
*こちらに花腐れ菌核病の記事を投稿したらリンクを貼りますね!
小さい蕾の状態で枯れたケース
蕾は形成時(肥大化する前)に枯れてしまう場合もあります。
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蕾が形成時期の小さい状態で枯れてしまう時、椿全体の成長に異変がある場合があります。蕾だけではなく樹皮など季節に似合った生育をしているかどうかを確認してみるとよいです。
理由
さて、蕾がなぜか枯れてしまった経過と症状をお伝えしましたが、理由をお伝えします。理由は病害虫ではなく、椿の成長作用機能(生理的システム機能)の一つなんです。
fa-chevron-downfa-chevron-downfa-chevron-downfa-chevron-down fa-chevron-downfa-chevron-downfa-chevron-downfa-chevron-down椿自身(僕)の思惑を語ると fa-chevron-downfa-chevron-downfa-chevron-downfa-chevron-downfa-chevron-down
今は、蕾をつけたくない!蕾はいらないの。
だって・・・種子を残すほど樹木の寿命が短くないし、僕(椿自身)は元気だから子孫を残さなくても大丈夫!蕾にエネルギーを注ぐよりは、先ずは成長に体力を使いたい!
ので、蕾は枯らしちゃいます(笑)
とのことで、病気や虫とは無関係で蕾が枯れた今回の理由でした。
花を咲かせるということは、種子を作ることで種子植物によって子孫を残す手段の一つです。つまり、樹木は「僕(椿自身)はまだまだ生きていける!僕の寿命は長いの!だから子孫はいらないの。」という思いからです。
そんな樹木の生育段階の時は、蕾を付けても自ずと枯らしてしまうんです。椿の花を見れなくて残念ですが、そっとしてあげましょう。10月頃のこ時期は、椿の好きなように気の向くままに成長させてあげて、来年の開花まで見守ることしかできません。
だから、心配しなくても大丈夫なんです。乾燥した風や北風や急な気温の冷え込みなどの環境的な要因ではなく、また肥料不足や水不足から枯れてしまったという生理的な要因でもなく、さらに害虫に食べられたり蕾元が折れてしまたりと物理的な要因で蕾が茶色く枯れてしまうわけではないんです。樹木そのものの生育上の判断で枯れてしまっているだけなんです。
fa-asterisk今回のように病害虫の影響ではなく、椿の生理的な現象で枯れてしまうケースもあります。椿にまつわる「枯れてしまった」の原因を病害虫の視点で知る手掛かりになればと思い、関連記事をご紹介させていただきます。
原因・対策
(翌年は多くの蕾が肥大化できた)
蕾が枯れてしまうケースは下記の通りに、他にも乾燥や枝の貧弱などの要因もあります。樹木の樹齢や成長段階の元気さ、育っている環境など考慮して原因を追究していきます。
fa-check-square-o乾燥した北風に当たり過ぎた
fa-check-square-o急な気温の冷え込みがショックを与えた
②生理的な要因
fa-check-square-o肥料不足による栄養要素の欠乏
fa-check-square-o樹木内の水循環が影響
⇒夏に水を与えすぎた
fa-check-square-o子孫の不必要性
⇒成長作用が働いている
③物理的な要因
fa-check-square-o食害で蕾がなくなった
fa-check-square-o蕾の元の部分やその枝が折れた
物理的な要因として「食害」が挙げられていますが、食害でまるごと蕾が食べられてしまうのではなく、蕾のどこかに小さな穴が開いていたら虫食いにあってしまっている場合があります。そうなると、原型を留めない開花の仕方だったり、蕾の髄を食べられてしまい水分が行きわたらず枯れてしまったりする場合があります。
●更新 2021年11月2日
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夏場:2日に1回水やりを行う
⇒表面の土が乾いたら鉢底から水が滴れるほどたっぷりと水を2回ほど与える。
fa-circle-o表面土が乾燥したら与えること。
fa-circle-o水を与えすぎると成長を促すことにもつながり蕾よりも成長にエネルギーを注いでしまうため、成長しにくい(新芽を伸ばさない)ような環境が必要。
冬場:4日に1回水やりを行う
⇒夏場より水やり回数は減る。土表面が乾燥したら水やりを行う。
今年は椿が咲かなかったという原因・理由、開花するためのコツもご紹介できたらいいな。さて、開花が終わったら植替えをすることをおススメします!
fa-check-square-o開花に関する心配事として、花が咲くほど椿の木は元気かと思っていたところ葉が茶色く変色してしまったことがあります。すべての葉が枯れて一枚も葉が残らないのではと思うほどに。そんな状態の椿の育て方、手入れの仕方をまとめています。これで、春には新しい葉が芽吹いてくるので安心してくださいね。
おしまーい。