チューリップの葉が腐れても花が咲いたよ!葉腐病の原因や手入れ

チューリップの葉が腐れた、枯れたという症状が表れたら葉腐病(はぐされびょう)を疑いましょう。本記事は、多品種の原種チューリップを育てている中で、一種類の品種だけが病気になりその原因追究や感染後の手入れ、感染した球根の開花の様子、球根の状態をまとめています。

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葉腐病

症状(葉が腐って枯れ始めた)

9個の球根を12月に植えて、翌月1月には9個すべての球根から芽が出て第一葉が伸び、ホッとしていました。しかし、喜びもつかの間、2月に1球だけ葉が巻くようにくるっとしていたのです。奇形かなと疑問に思っていましたが葉腐病の始まりました。

1月、2月のチューリップの様子
(水やりした後に撮影したから水滴がついています)
  

【写真1】1月:葉が伸びた

【写真2】2月:葉が大きく成長した

 

しかし、約1週間すると葉の一部が緑色ではなく透き通っていることに気づいたのです。葉緑体の色素がなく、うっすら葉脈が残っている感じです。葉の一部が溶けたという表現が適切と言っていいほど。

葉の一部が溶けて、枯れた!?
  

【写真3】葉の一部が溶解した

さらに1週間、様子を見ていると他のチューリップの葉にも同じ症状が出て、被害が拡大してしまいました。

葉の一部が溶けて、枯れた!?
  

【写真4】葉の溶解が進む

【写真5】葉が腐ったかのようになる

成長が止まったチューリップ
  

【写真6】成長せずに数日後枯れてしまった葉腐病

 

成長できても、病気は治らなかった
  

【写真7】

【写真8】

【写真9】

葉が腐れたり溶けた原因は、細菌性の葉腐病である可能性が高いと言えます。菌検査をしてみないと断定はできませんが、農研機構に次の通りにまとめられていました。

萌芽時の地際部が侵されることが多く、重症株では芽全体が褐色に腐敗し、萌芽しない。軽症株では未展開の第1葉に褐色の不規則なかさぶた状の病斑を形成する。病斑部は生育できないので、葉が展開するにつれて奇形となったり、欠けたり、穴があいたりする。第二葉以上はあまり影響を受けない。茎では第1節間に 淡褐色ないし黄白色の病斑を形成し、細い茎ではそこから上位部が枯れ上がる。球根では褐色の病斑が形成され、外皮や鱗片が不規則に裂開する。

農研機構(葉腐病)

原因

葉腐病の原因菌は、リゾクトニア ソラニ (Rhizoctonia solani)という糸状菌(かび)です。

タネ種苗株式会社さんのページを引用させていただきます。(リンク先のURLは規定によりトップページのURLとなっています。)

病原菌はリゾクトニア ソラニ (Rhizoctonia solani)という糸状菌(かび)で、胞子は形成せず、菌糸と褐色の菌核で生活史を全うする。したがって、伝染源は土壌中の被害残渣や菌核と保菌球根である。また、本病菌は多犯性であることから、他の作物や雑草上でも増殖して伝染源になる。

チューリップ 葉腐病(はぐされびょう)

さて、上記に挙げられている伝染源①土壌中の被害残渣、②保菌球根、③他の作物や雑草からの伝染という3つの中から何が原因で葉腐病になったのかを考えてみると、②保菌球根であった可能性があります。というのも、連作はしていないことや土壌の土は使用年に購入した新しい用土であること、他の作物や雑草は近くに生えていたが葉腐病の症状がなかったので菌が飛来した可能性は低いこと、数種類のチューリップを並べて育てていたが葉腐病の感染球根は1品種だけであることより、購入時からの保菌球根であった可能性があります。さらに断定できる根拠は、数種類のチューリップを並べて育てている中で、葉腐病になったのは1種類の品種ということ。病気になったこの品種は2鉢育てていて、各鉢はそれぞれ離れた別の場所にありながらも、2鉢とも葉腐病が発症しました。2鉢中、一鉢は植付前の消毒なし、もう一鉢は消毒ありでしたが両鉢とも葉腐病が発症しました。(消毒しているのにどうして病気になるのかというと、消毒した農薬の対象予防病気は青かびと球根腐敗病でしたので、葉腐病は効果の適用外でした。)

感染後の手入れ

対処法

葉腐病にチューリップが感染した時の対処法をまとめます。

1.連作を避ける。
2.圃場排水を良好にする。
3.発病株は早期に抜き取り,処分する。

チューリップの耕種的防除法

今回、連作はしていないことや排水性は良かったこと(←他のチューリップ球根は元気に成長しています。)他のチューリップは病気が発症していないことより、発病後にやった方がよい手入れは、3.発病株は早期に抜き取り、処分する。という選択肢になりそうです。これは他のチューリップに病原菌が伝染し蔓延する
のを防ぐ目的があります。

一般的に葉腐病に感染したら、感染した球根を取り除き処分します。植えていた用土に殺菌剤を散布し用土を殺菌しつつ、周囲のチューリップにも散布し予防する作業が必要です。

してはいけないダメな手入れ

ちなみに、1.連作をしてしまった。2.排水が悪い用土だった。ということが分かっても植え替えはしないようにしましょう。チューリップの植替えはできれば避けたいです。その理由は植え替えによって根がキズつくことが挙げられます。チューリップの根は一度キズついたら新しく根が出ることはないので修復が難しいんです。さらに植替えをすることで菌を拡散してしまうことにつながります。

殺菌剤の散布

病気だけどできればチューリップの花を見たいので発病株を処分したくないときにおススメしたいのが殺菌スプレー、もしくは殺菌剤の散布です。殺菌剤を使い、菌がこれ以上増殖したり蔓延するのを防ぐとよいです。

ということで、適用がある殺菌剤を調べてみました。

チューリップ・ハイドランジアの葉腐病にリゾレックス

葉腐病・くもの巣病(花の病害虫)

リゾレックスは、リゾクトニア属性の細菌(その他、コルティシウム属菌、ティフラー属菌等)に効果を発揮します。葉腐病が気になる場合は、球根を植付する前にリゾレックスを使用することもできます。

話が少しそれますが、植付前に球根を消毒する方法や効果についてはこちらの記事にまとめています。

参考記事

青かびや球根腐敗病の予防に効果的なオーソサイド水和剤とベンレート顆粒を植付前の球根に使用して球根を消毒した場合、その後の生育や分球率にどう変化があるのかを調べています。オーソサイド水和剤とベンレート顆粒の使い方や植付前の球根消毒の仕方を載せています。

では、葉腐病に感染したチューリップを経過観察していきます。

本来は、処分しましょう!なのですが、それでは記事が面白くないので、葉腐病のチューリップが感染後どうなっていくのかを追究してみます。

 

経過観察

花が咲いた

葉腐病に感染した葉は農薬散布から悪化することなく症状が治まりました。チューリップは成長を続け、時期になったら花を咲かせることができましたよ。

【写真10】病気だが、蕾が上がってきた

【写真11】葉腐病に感染したチューリップの開花

こちらの品種は、サクサティリス。9球植えて葉腐病で1球は生育不良で球根を処分しました。その後、殺菌剤を散布後、8球が残り、開花しました。葉腐病の症状が小さい時は、該当部位を撤去してあげても開花する可能性はあります。今回は、殺菌剤を散布してみました。殺菌剤を散布しても手遅れの場合があるので、必ず開花するとお約束できないです。なので、葉腐病を見つけたら早めに殺菌剤を散布することをおススメします。

 

球根の状態

基本、葉腐病に感染した球根は処分をして感染の伝搬を防ぎますが、せっかくなので開花後の様子や球根の状態を確認してみようと思います。開花から20日ほどすると葉が茶色くなり枯れてきました。開花してから葉が茶色くなるのが早いことや変色の仕方が元気なチューリップと違っていました。

葉腐病に感染した開花後のチューリップの様子
  

【写真12】掘り上げ時期の状態

 

では、掘り起こしてみます。
  

【写真13】掘り上げた球根

【写真14】傷んでいる球根が多かった

 

9球植えて分球した子球根は5球
  

【写真14】分球した子球根:5球

 

開花後の球根の状態において、考察をまとめます。葉腐病に感染してもチューリップの花を咲かせることができましたが、一度、葉が傷んだことにより開花後の葉の変色や枯れ具合が早いでした。葉が茶色くなったら掘り起しのタイミングなので掘り上げてみたら、親球根の皮は溶けて腐敗している球根もありました。葉が茶色くなるのが早かったので球根肥大期間が短いでしたが、子球根の分球を5球確認できました。おそらくこの子球根はリゾクトニア属性の細菌を保菌していますね。

 

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最後に

子球根は保菌球根なので処分しましょう。ですが、来年、この子球根を植えたら葉腐病が発症するのか調べてみたいと思います。なので、子球根を捨てずに保管して、子球根の状態を来年、記事したいと思います。

追伸(病気になった子球根を翌年育ててみた)

葉腐病を発症した親球根から分球した子球根を翌年、植え付けた(温暖地方の植付けは12月)ところ、翌年1月に葉が出てきました。雨が続きましが、病気の症状が出ずに順調に育っています。昨年は2枚葉が出る頃から葉に異変がありましたが今のところ大丈夫そうです。

【写真15】分球した5球根:発芽した

親球根が病気になった場合、子球根にも感染が移り、病気が発症するのか行方を調べていきます。その後の成長についてはR5.6月頃にこちらに関連記事でご紹介予定です。お楽しみに。

おしまーい。

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