チューリップを植え付ける時に気になっていた花束植えという植え付け方。花束植えとは球根を横向きに寝かせて植え付けることですが、ちゃんと芽と根が出て、来年用の球根も分球できるのか疑問でした。そこで、一般的な植え方と花束植えの生育や開花、分球を比較してみました。
原種チューリップ「リジー」で実験します!
植付け
同じ鉢の中心で区切って、左側:Aは球根を寝かせた状態で植付けをする花束植えを行い、右側:Bに球根を縦に立てた一般的な植え方をしました。植付け時、球根同士の間隔は球根が2個分入るほど開けています。
植付け時期:11月30日。
AもBも同じ重さ・サイズを7球ずつ
チューリップ:原種チューリップ
品種:リジー
生育
植付けから約4か月で原種チューリップ・リジーが開花しました。
左側:Aの花束植えでは中心にまとまって咲き、右側:Bは散らばるように咲いてます。7球植えて病気になることなく全て開花しました。芽の出方ですが、AはBより約7日遅かったので球根の向きが違うと生育に負担がかかるのですね。(笑)
開花時期:4月中旬
植付け7球ともすべて開花
芽の出方:AはBより遅い
葉の成長:変わらず(視覚的判断)
花束植えをしたA、一般的な植え方をしたBの開花の様子を拡大してお届けします。
つぎに、気になる球根を横向きにして植えた場合、根や茎はどう伸びているのかです。チューリップは根を傷めると修復が難しく枯れてしまうので抜きたくないのですが、実験なのでしぶしぶ花束植えをしたAの球根を1球抜いてみました。
(ごめんよ。愛しいチューリップさん。ここまで成長してくれてありがとう。)
横に寝かした球根は、球根本来の根が出る部分から根が出て、芽が出る部分から芽が出ていました。そして、根は下向きに、芽は上向きに伸びていました。
チューリップさん、お見事( ´艸`)
球根はどんな角度で植えても、重力に従って根は下に、芽は上に伸びてくるそうです。植える向きによって地上に芽がでる速さが違いましたので開花時期に差が出るのではと想定されましたが、そうではなくほぼ等しく同時開花していました。
分球率
では最後に、記事のテーマでもある花束植えの場合、分球はしっかりできるのか報告です。結果は次の写真6:分球数をご確認ください。
子分球は一般的な植え方(B)をした方が分球数は多い結果となりました。ただし来年開花できる球根のサイズ(大)だけを比較すると、AもBも同じ5球でした。検証個数(N)の都合で平均を出すことはできませんでしが、分球率に差がでることが分かりました。
花束植え:大5球+中1球+処分1球
一般的植え方:大5球+中5球+小8球
掘り起こし時期:6月上旬
少し余談です。
実験で原種チューリップのリジーにした理由をご紹介します。理由は、昨年分球率100%で個体的にも生育がよく子分球もたくさん増えたからです。植え付けているリジーは昨年植え付けた親球根から分球した子球根。原種チューリップの球根を増やすにはチューリップがまずは元気に育つことです。肝心なのは土づくりと球根の掘り上げ時期ですよ。
余談はさておき、本実験の考察をまとめます。
考察
最後に、一般の植え方と比較して、球根を横向きに植えた花束植えは芽が出るまでに7日遅れましたが、芽が出てからの生育は一般的植え方の開花と同時に花を咲かせることができました。来年用の分球数については減少し、親球根1球につき子球根1球は分球できかつ来年開花が見込めるサイズの子球根でした。横向きなのが分球に影響しているように思えますが、横向きに球根を植えても分球できるんですね。
A:花束植え (Bと比較して○○) |
B:一般的植え方 | |
植付け | 同時期 | 11月30日 |
発芽 | 7日遅い | 翌年1月20日 |
発芽後の成長 | 異常なし | 異常なし |
開花 | 同時期 | 4月10日 |
分球数 | 7球 少ない |
18球 |
来年開花見込 | 同数 | 5球 |
最後に、原種チューリップの品種特集記事をご紹介させていただきます。
おしまーい。