妊婦健診12週目に血液検査をして、15週目にトキソプラズマ抗体が陽性と診断されました。主治医からトキソプラズマとは一体何を意味しているのか、IgM抗体・IgG抗体の作用や数値、胎児への影響や治療、今後の妊娠生活はどうなるのかなど不安や悩みを聞きましたのでご紹介します。
目次
抗体陽性宣告・数値
fa-asteriskIgM:0.4
感染原因・ル―ト
主治医曰く、感染原因はネットで検索すると詳しく載っているけどとお伝えしながら、主な感染原因は生肉・猫・土とのことでした。
fa-asterisk猫を触ったり飼育したりしていた
⇒ネコ糞便から感染
fa-asterisk土いじり。土壌から感染
⇒土壌細菌から感染
感染ルートは、感染原因を触った時に手洗いが不十分で、口に入ったり(経口感染)、目をこすったり(眼瞼結膜からも感染)することで体内に侵入するとのこと。空気感染、飛沫感染はしない。
抗体の作用・数値の変動
抗体IgM・IgGの作用(動き)、数値の変動についてまとめます。
IgM・IgGの役割と機能
fa-check-square-oIgM:初動部隊
IgMは、トキソプラズマ感染から1~2週間ほどしたら動き始める抗体で「初動部隊」と呼ばれています。「トキソプラズマが体内に入ってきたな!」と見回りをしている役目があります。抗体とは、外部からの侵入物(菌や寄生虫、ウイルス等)に対して攻撃するタンパク質のことで、ウイルスに対して抗体が出現(反応)する機能が免疫反応です。抗体の量は外部からの侵入物の量であり体内の免疫作用が反応した量になります。IgMは感染後4~8週間でピークの値を示し、その後、陰性・低値(0.8未満)になります。IgMのピーク値の基準を示すのは難しいとのこと。IgMは数カ月で陰性になり、感染後3~6か月で消失すると考えられていますが、IgMが低値(0.8未満)にならずに一定の値を示し続ける人が稀にいるみたいでこの現象を「Persisitent IgM」と呼ばれています。
fa-check-square-oIgG:本隊
IgMの見回りで「トキソプラズマが体内に侵入している!」と判断すれば、本隊である攻撃部隊のIgGが動き始め、外部からの侵入物(トキソプラズマ)を攻撃し始めます。IgGは感染後の潜伏期間を終えて、IgMより後から出現し、陽性になります。一時高値を示し、その後は一定になりますが、検査では数カ月~数年にわたり陽性を示します。
抗体価変動模式図
IgMとIgGの変動をまとめたグラフは「抗体価変動模式図」と呼ばれています。
グラフを整理するとこんな感じ(図1)
図の関数はだいたいのイメージです
fa-arrow-down fa-arrow-downfa-arrow-down
では、次の解説に入りますね!
陽性疑い、感染時期の検査
抗体価変動模式図においてトキソプラズマ抗体値がどの時期(経過と時間)であるのかを調べる必要があります。現時点(初回の血液検査)の抗体値では感染時期を知ることができないからです。
妊婦健診初期血液検査でトキソプラズマ抗体が陽性だった場合、『トキソプラズマ感染症の疑い』となります。(あくまでまだ疑いです)疑いのため、これから妊娠が成立してから感染した(初感染)なのか、妊娠前にすでに感染していた(既感染)なのかを調べます。初感染だった場合、母親の血液を通じて胎児に感染する可能性があり、特に、まだIgGの攻撃が終わっていない時期も胎児への影響が懸念されます。初感染だった場合、妊娠中にトキソプラズマに感染したとなります。
繰り返しになりますが、トキソプラズマにいつ感染したかの時期が重要になります。なぜなら妊娠中の初期感染であれば胎児に感染が移行し、影響がでてしまう可能性が少なからずあるからです。現時点の抗体値が下記図(図2)の①・②・③・④のどの時期であるのか、また感染からどのくらい時間が経っている知るために「トキソプラズマIgG抗体のavidity」という検査を行い、avidity値より感染時期の確率を出し、今後の妊娠中の治療や投薬の方針を定める基準としていきます。
さて次は不安になるお話ですが、初感染もしくはまだIgGの攻撃が終わっていない①・②・③(参照:図2)の時期だった場合、もしくは妊娠する少し前の感染だった場合、どうなるのかを主治医から聞いた話をまとめます。
胎児への影響
感染した胎児の症状
胎児に感染すると、発育が遅れることで赤ちゃんが小さくなってしまうことや、脳に石灰や水が溜まってしまったり、肝臓に影響がでてしまうとのことでした。トキソプラズマは特に、目と脳に影響を及ぼすようです。
低出生体重 / 肝脾腫 / 脳石灰化 / 水頭症 / 肝機能異常 / 血小板減 / 網脈絡膜炎 / てんかん
胎児に症状がでる時期は?
妊娠何週目ではっきりとした症状がでるのかは、分からないと話しつつ、20~24週目(20週目以降かな)と漠然としながら妊娠週数を伝えながら、やっぱり症状がいつ出るかは分からないとのことでした。異常が分かるのは月単位で変化するみたいです。出生時では異常がなくても1歳、3歳、思春期、大人になってから視力低下、神経や運動の発達の遅れなどの遅発性障害になる可能性もあるとのお話でした。
胎児の時に異常がある場合は「先天性トキソプラズマ症」と診断され、その異常・障害はそのまま継続する可能性があり生涯にわたって影響する恐れがあるようです。
胎児が感染した時は、いつ分かる?
胎児の場合、エコーで異常がでた場合に判断材料としてトキソプラズマ感染症の可能性が挙げられ、出産時に赤ちゃんの臍の緒の血液検査(臍帯血)で感染の有無を調べることができるとのこと。つまり、産まれてみないと感染の有無は分からないということでした。
fa-asteriskエコーでの異常
fa-asterisk羊水検査
fa-check-square-o出産後
fa-asterisk血液検査
fa-asterisk症状
fa-check-square-o数年後
fa-asterisk症状
母子感染率
母体が感染したら数週間から数カ月で胎児に移行(感染)する場合があります。胎児への感染率は、妊娠週数によって異なります。妊娠12週目で感染した場合、胎児の感染率は6%ですが、高い確率(75%)で胎児に症状がでやすいとのこと。その場合、胎児が胎内で死亡したり、流産を起こしやすく、生存しても重症例となりうることが考えられるようです。一方で妊娠36週で感染した場合、感染率は70%ですが、15%で胎児に症状がでるという数値があります。
妊娠初期の感染では感染確率が低いですが感染した場合は症状が重く、妊娠後期の感染では胎盤も充実して胎児の機能も育ってきていることより感染率は高いが無症状のこともありうるとのことです。
24~34週あたりの感染が先天性トキソプラズマ感染症として後遺症を残す可能性があるとのこと。
感染疑いの治療・生活・心境
治療・投薬
治療は投薬になります。トキソプラズマ抗体が陽性(疑いも含む)と分かった日から抗生物質を処方されます。抗生物質は、スピラマイシン錠剤(150万単位「サノフィ」150万国際単位)と記載されていました。1日3回の食後2錠ずつを服薬します。これは胎児に感染していない状況を想定した抗生物質で、母子感染を予防することに効果があります。出産まで長く飲み続け「3週間服用して、次の2週間は休み」を繰り返します。妊娠中の服薬になりますが、スピラマイシンに対する胎児に異常や障害は報告がないため安心して飲めるとのことでした。
最後に
プチ情報
トキソプラズマ感染の情報を集めていく中で、同じ心境の方や陽性になって悩んでいる妊婦さんが知っている情報を共有することがあったんです。ネットで調べると胎児が先天性トキソプラズマ感染になってしまった場合の怖いことがたくさん書かれていて確率的には低いのかも!?と心の片隅で願ってしまうけど油断はできませんよね。感染症を経験された妊婦さんが病院から聞いた話を箇条書きでピックアップします。シビアな内容も含まれていますのでご参考までにお願いします( ..)
下記、余談としてまとめます('ω')ノ
fa-check-square-oIgGとIgM抗体値が両方陽性で3回の血液検査を受けて、結果が同じでほとんど変わらない場合、トキソプラズマIgG抗体のavidityの検査で、昔の感染の確率が高い判定例がある
fa-check-square-o抗生物質は2週間服薬すれば、母子感染の可能性がほとんどなくなると話す主治医もいる
fa-check-square-o母子感染の有無を確定できるのは子どもが1歳になるタイミングとか?
fa-check-square-oトキソプラズマの母子感染の症例は日本では極めて少ないこと
fa-check-square-o2~3度の血液検査で抗体値がほぼ変わらなければ、昔の感染で以前から陽性だった
fa-check-square-oIgM抗体値1.8以下の人はほとんど偽陽性の可能性がある
fa-check-square-oIgGが抗体として機能している場合、高い値で300くらい
fa-check-square-o妊娠初期は胎児に症状がでているか分からない
fa-check-square-o胎児に感染する確率は薬の服用を出産まで続けると0.037%
経験者の出産事例をお伝えします。
fa-check-square-oアビディティ検査を2回受けて感染時期はグレーゾーン、胎児感染はなかった
fa-check-square-o1回2錠を1日4錠服薬しアビディティ検査はグレーゾーン。羊水検査でははっきりしないと言われたので受けなかった。出産すぐにトキソプラズマの検査をしたけど胎児の感染の可能性はなく、胎盤も調べたけど大丈夫だった。
陽性の疑い!誰だってツライ心境
妊娠12週でトキソプラズマ感染が陽性、IgGの値が3ケタと判定基準を大きく飛び越えて高い抗体数値の結果を受けて、診察室では主治医に質問をして状況を頭にインプットするので精一杯でした。
診察室を出た時、旦那様に報告をした時、階段を歩いて追加採採血に向かう時、血液検査場に着いた時、採血の順番を待つ時間・・・・一つ一つの出来事や場面で我慢しないと涙が出てきそうな状態。
抗生物質を受け取りに大学病院専属の調剤薬局に行ったら「スピラマイシン錠剤、在庫切れで今から発注をかけます!」とのこと。(そんなに処方される患者さんが多いの!?一方で処方する機会がないから在庫管理が手薄なの?)必死に「今日から飲みたいんです。遠くても、どこの薬局でも薬を取りに行くので他の薬局を調べてください」と涙をこらえながら薬剤師さんにお願いをして、初めて行く薬局を調べながら知らない道を不安を抱えながら一人で運転をしてお薬をもらいに行って・・・、トキソプラズマ感染って妊婦さんをそこまで不安にさせる本当に怖い感染症なんだ!と手に汗をかきながら実感していました。
12週目でトキソプラズマ感染の検査をして、結果って早く出ていたはずなのに3週間後から服薬って・・・・、1日でも早く薬を飲みたかった。そんなことを考えていると大学病院の体制ってどうなんだろうと、そっちも悔やんでしまう。
一晩、トキソプラズマ感染のことを調べて、悩んで、落ちこんで、翌日、大学病院に羊水検査を受けられないか相談をしたり、情報を整理するために手書きで紙にまとめたり、仕事も行かなきゃいけない、マタニティライフを楽しめる自信がない、そんな心境に陥る日々でツライんですよね。
だけど、感染してしまったことを「ゼロ」にはできないから、前を向いていくしかないよね。今でも赤ちゃんはお腹で生きているんだもの(* ˘꒳˘)⁾
更新 妊娠28週目のトキソについて
出産レポ―ト
この記事が少しでも妊婦さんのお役に立てますように。
おしまーい。