剪定をする時は樹形をイメージして枝を切り詰めていきます。紫陽花がもつ本来の樹形はどんな姿で、イメージすべき樹形をご紹介します。植物にも、持って生まれた本来の遺伝子があり、そのメカニズムに沿って育っていきます。今回は、紫陽花を剪定する上での理想な樹形、それに近づける剪定のポイント、樹木の特性である株立性低木とは何かをお伝えします。
自然樹形
人の手が加わっていない紫陽花の樹形はどれも同じような樹形をしています。その姿こそが、紫陽花本来の樹形であり、紫陽花がなりたがる樹形なんです。芽や葉の付き方などの違いで、樹種にとって特有の樹形(自然樹形)が決まっていてその姿になろうと芽を出し枝を伸ばして成長していきます。自然樹形には、円錐形(杉)、杯形(カエデ類)、卵形(モクレン)、球形(サクラ)、ほうき形(ムクゲ)、不定形(梅やオリーブ)、株立ち(椿)、枝垂れ樹形(枝垂桜、枝垂れ紅葉)、木立性低木(ツツジ、ロウバイ)、株立性低木(ボケ、ナンテン、クチナシ)などの分類があり、紫陽花は株立性低木の分類です。
株立性低木とは
紫陽花は草花ではなく樹木・低木に位置づけられています。樹高による学問的な木の分類における定義はありませんが、一般的に1~3mに成長する樹木を低木としています。さらに低木には2種類の分類があり木立性と株立性です。総じて紫陽花は株立性低木となります。
fa-asterisk株立性(株立ち樹形)とは、幹(主枝)が1本ではなく、複数本立っている樹形のこと。
fa-asterisk今年の冬は藁を引いています
地際から新しい枝となる冬芽(萌芽)が出ています。冬になると株元に萌芽を形成し環境条件が揃うと芽吹き若い主幹を形成します。
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剪定が必要な理由
剪定では「樹形を考えて切りましょう」と言われています。剪定の格言みたいなものですね(^^;
紫陽花らしい樹形となるように「紫陽花の自然樹形を意識して、それを崩さないように剪定をしてあげてね!」ということです。紫陽花本来の自然樹形を崩して剪定してしまうと、樹木は自然樹形になろう脇芽を出したり枝を伸ばしたりしますので、不要な枝や細い枝、暴れ枝が増えてしまい樹形を乱してしまいます。
fa-asterisk紫陽花は花後と落葉後の2回、剪定をします。
fa-check-square-o花後の剪定が必要な理由は、紫陽花は自ら花を落とすことができないので、「花を落とし、芽分化を促す」目的があります。花後の剪定では紫陽花らしい樹形を維持するためではないんですよね。
fa-check-square-o落葉後の剪定は、花後の剪定でできなかった紫陽花本来の樹形に似合うように不要な枝を落とし枝を更新するためであり、開花に向けて充実した枝を育てる目的があります。太い1本の枝にエネルギーを集中できる状態にしてあげることも剪定の意図です。
冬は休眠期でもあり地際から新しい枝の芽もでているので、すべての枝を地際から剪定する強剪定をすることもできます。
⇒紫陽花の自然樹形に近づけるように剪定をすることで、樹形を整え、伸びた枝が原因で暴れ木にさせないため。
②複数本の主幹をひとまとまりと考え1本の幹とみなし剪定する
③内側に向かう枝を剪定する
④枝の寿命が短いため、地際から萌芽がでて枝を更新する
⇒古い木質化した枝は根本から剪定してよい。主幹は寿命が短く、更新しながら株を生きながらせているため
最後に(まとめ)
剪定をする時は、紫陽花らしさ、つまり紫陽花の自然樹形を理解して剪定することで樹形を整えていくことが大切です。
おさらい(樹形を意識した剪定)
剪定の一番の目的は、紫陽花の樹形を整え株の寿命を長く維持し、適した生育を促すことです。紫陽花本来の樹形を大切にし、樹木を傷めない剪定ができるといいですね。
強剪定したい紫陽花の荒れ果てた株
(休眠中の2月・冬芽形成は充実している)
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地面際より冬芽が出ているのを確認します。
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強剪定します。
株立性低木の特徴が分かる樹形となりました。
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株立性低木の特徴がお分かりなりましたでしょうか。
強剪定をされる方は是非、株本来の樹形を意識して剪定してみてくださいね。
おしまーい。